副業は事業所得か雑所得か|通達の判定基準と、区分で変わる税額

通達が挙げているのは は 帳簿書類の保存(300万円は例外の条件/所得税基本通達35-2の注)

副業で得たお金が事業所得か、雑所得か。ここが決まらないと、青色申告特別控除が使えるかどうかも決まりません。

よく「副業の収入が300万円以下なら雑所得」と説明されますが、通達の書き方はそうなっていません。主たる条件は別のところにあります。このページでは通達の本文をそのまま確認したうえで、区分が違うと税金がいくら変わるかを計算できるようにしています(2026年9月24日確認)。

目次

通達は「帳簿書類の保存がない場合」と書いています

国税庁の所得税基本通達35-2に、事業所得と業務に係る雑所得の区分について注書きがあります。

(注)事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。
出典:国税庁 法令解釈通達 所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係 35-2(業務に係る雑所得の例示)の(注)。令和4年の改正で追加された部分です

読み方が2段階になっています。

通達の書き方
原則事業といえる程度かどうかで判定する(社会通念上)
なお書き帳簿書類の保存がない場合は、業務に係る雑所得に該当する
その例外収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合

300万円は、主たる基準ではありません。「帳簿書類の保存がない」ことが雑所得になる条件で、300万円超はそこから外れるための例外の側に置かれています。

逆に言えば、帳簿をつけて保存していれば、金額が小さくても雑所得と決めつけられるわけではありません。ただし保存していればそれだけで事業所得になる、という意味でもありません。原則は社会通念上事業といえる程度かどうかです。

区分が違うと、2つのことができなくなります

① 青色申告特別控除が使えません

青色申告ができる所得は法律で限られています。

不動産所得○
事業所得○
山林所得○
雑所得×
所得税法143条。青色申告できるのはこの3つの所得がある人に限られます

雑所得になると、帳簿をつけていても65万円の控除は受けられません。

② 赤字を給与と通算できません

損益通算について、所得税法69条1項はこう定めています。

総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。

この4つに雑所得は入っていません。副業が赤字でも、雑所得なら給与から引けません。事業所得なら引けるので、源泉徴収された税金が戻ってくることがあります。

開業した年は設備や道具に費用がかかって赤字になりやすいので、ここの差が最も大きく出るのは初年度です。

いくら変わるか計算する

副業の収入と経費を入れると、事業所得だった場合と雑所得だった場合で払う税金がいくら違うかが出ます。

事業所得と雑所得で、税金がいくら変わるか

同じ収入・同じ経費でも、区分が違うと払う額が変わります

円
円

家事按分した分を含みます。経費の範囲は別のページで整理しています。

通達が区分の判断で挙げている条件です。保存していれば必ず事業所得になる、という意味ではありません。

本業の給与と合算した課税所得で決まります。

  • 住民税は一律10%として計算しています。均等割や自治体ごとの差は反映していません。
  • 復興特別所得税(所得税額の2.1%)は含めていません。
  • 赤字のときは、事業所得なら給与所得などから引ける(損益通算)ものとして計算しています。実際の順序は所得税法の規定と政令によります。
  • 青色申告特別控除を受けるには、事前に青色申告承認申請書を出しているなどの条件があります。
  • 事業所得か雑所得かを当サイトが判定するものではありません。最終的な判断は所轄の税務署によります。
  • 内容は2026年9月24日時点の法令および通達を確認して作成しています。

知っておくと判断が変わる4つ

帳簿は「つける」だけでなく「保存する」ことが条件です

通達が挙げているのは帳簿書類の保存です。会計ソフトに入力しているだけで、出力も保管もしていない状態が該当するかは、税務署の判断になります。青色申告をするなら、帳簿書類の保存期間は法令で定められています。

「事業所得にすれば節税できる」という話ではありません

区分は自分で選べるものではなく、実態で決まります。事業といえる実態がないのに事業所得として申告すれば、否認されて追徴されることがあります。計算ツールで出るのは「どちらに当たるならいくら」という比較であって、有利なほうを選べるという意味ではありません。

給与として受け取っているなら、そもそも別の話です

副業先と雇用契約を結んで給与をもらっているなら、それは給与所得です。事業所得か雑所得かという区分の前に、まず給与かどうかで分かれます。

雑所得でも経費は引けます

雑所得になっても必要経費は引けます(所得税法35条2項2号)。引けなくなるのは青色申告特別控除と、赤字の損益通算です。経費そのものがゼロになるわけではありません。

よくある質問

副業の収入が300万円以下だと、必ず雑所得になりますか

なりません。通達が雑所得の条件として挙げているのは「帳簿書類の保存がない場合」です。300万円超は、保存がなくても事業所得になりうる例外の条件として書かれています。金額の多寡だけで決まるものではなく、原則は社会通念上事業といえる程度かどうかで判定されます。

帳簿をつけて保存していれば、必ず事業所得になりますか

なりません。通達は「保存がない場合は雑所得に該当する」という書き方で、保存があれば事業所得になるとは書いていません。判定の原則は、その活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行われているかどうかです。

雑所得だと経費は引けないのですか

引けます。所得税法35条2項2号は、雑所得の金額を総収入金額から必要経費を控除した金額としています。雑所得で使えなくなるのは、青色申告特別控除と、赤字を他の所得から引く損益通算です。

去年は雑所得で申告しました。今年から事業所得にできますか

区分は実態で決まるため、年によって変わることはありえます。ただし自分で選べるものではありません。青色申告をするには事前に承認申請書を出す必要があり、期限があります。所轄の税務署にご確認ください。

赤字なら申告しなくてもいいですか

事業所得で赤字を給与と通算したいなら、申告しないと通算されません。申告して初めて還付が受けられます。なお副業の所得が20万円以下でも住民税の申告は必要です。

確認先

事業所得と雑所得の区分国税庁 法令解釈通達 所得税基本通達 35-2
損益通算・青色申告の条文e-Gov法令検索(所得税法69条・143条)
個別の判定・手続き所轄の税務署

このページは法令と通達の内容を整理したものです。個別の副業が事業所得にあたるか雑所得にあたるかの判断は行っていません。計算結果は税率と控除額から求めた目安で、実際の税額は他の所得控除によって変わります。当サイトは税理士事務所ではなく、個別の相談には応じられません。内容は2026年9月24日時点で国税庁およびe-Gov法令検索を確認して作成しています。

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この記事を書いた人

副業・学び直し・独立にかかるお金と制度を、公式が公表している数字だけで整理しています。金額・条件・期限はすべて省庁や各サービスの公式ページで直接確認し、各ページに確認日を記載しています。

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