副業をしている正社員は11.0%です(パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」2025年8月調査)。企業の64.3%が副業を認めているので、認められていることと、やっていることの間には大きな差があります。
始めるときに必ず出てくるのが「20万円までなら申告しなくていい」という話です。これは半分だけ正しく、半分は間違っています。20万円ルールは所得税の話で、住民税には存在しません。
このページでは、20万円ルールが何を免除するのかを整理し、副業で税金がいくら増えるかを計算できるようにしています。金額と条件は国税庁・総務省の公式ページで確認しています(2026年8月確認)。
まず、副業が「給与」かどうかで分かれます
同じ20万円でも、判定に使う金額が違います。ここを取り違えると結論が変わります。
| 副業の形 | 20万円と比べる金額 | 経費を引けるか |
|---|---|---|
| クラウドソーシング・アフィリエイト・物販・原稿料など (雑所得・事業所得) | 所得(収入−必要経費) | 引ける |
| アルバイト・パート (給与所得) | 収入(年末調整されなかった給与) | 引けない |
アルバイトの場合は経費を引く前の金額で判定します。国税庁は「年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額との合計額が20万円を超える人」と書いています。交通費や道具代を引いて20万円以下にする、という考え方は使えません。
20万円ルールは所得税だけの話です
所得税は、20万円以下なら確定申告が不要
給与を1か所から受けていて、その給与が源泉徴収されている場合、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です。国税庁も「20万円以下の人は、申告は不要です」と明記しています。
住民税には、20万円ルールがありません
住民税に申告を省略できる制度はありません。名古屋市は公式ページで「市民税・県民税には、所得税のような申告の省略範囲はなく、原則としてすべての所得を申告する必要があります」と書いています。20万円以下でも、市区町村への申告は必要です。
つまり「20万円までなら何もしなくていい」は誤りです。正しくは「20万円までなら税務署には行かなくていい。市区町村には行く」です。
税金はいくら増えるか
副業の所得に対して、所得税と住民税がかかります。所得税の税率は本業と合わせた課税所得で決まるため、同じ20万円でも人によって増える額が変わります。
副業の税金はいくら増えるか
所得税と住民税を分けて計算します
その副業のために実際に使った費用です。通信費や交通費のうち、副業に使った割合ぶんを入れます。
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額です。年収ではありません。
- 所得税は「本業の課税所得の税率がそのまま副業分にもかかる」として計算しています。副業を足すことで税率の段が上がる場合は、実際はこれより多くなります。
- 復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を含めています。
- 住民税は所得割の標準税率10%(市町村民税6%・道府県民税4%)で計算しています。均等割は所得にかかわらず定額のため、副業では変わりません。
- 社会保険料は含めていません。副業が給与の場合、勤務先や労働時間によっては社会保険の加入対象になることがあります。
- 数字は国税庁・総務省の公式ページで2026年8月に確認したものです。手続きの前に必ず最新の情報をご確認ください。
確定申告が必要になる条件
国税庁が挙げている条件のうち、副業をしている会社員に関係するのは次の3つです。
| 状況 | 確定申告が必要になる線 |
|---|---|
| 給与を1か所から受けている | 給与・退職金以外の所得の合計が20万円を超えるとき |
| 給与を2か所以上から受けている | 年末調整されなかった給与の収入と、他の所得の合計が20万円を超えるとき |
| 給与の年間収入が2,000万円を超える | 金額にかかわらず必要 |
知らずに損をする4つ
所得税の申告が不要でも、住民税は1円から必要です
いちばん多い誤解です。20万円ルールは所得税だけの制度で、住民税にはありません。申告しないままだと、あとから市区町村に把握されて追加で課税されることがあります。市区町村の窓口か、確定申告のどちらかで必ず申告してください。
副業がアルバイトなら、20万円は「収入」で見ます
給与をもらう副業では経費を引けません。年末調整されなかった給与の収入金額そのもので判定します。「経費を引けば20万円以下だから大丈夫」は、アルバイトには使えません。
医療費控除やふるさと納税で申告するなら、20万円以下でも書きます
国税庁は「還付を受けるための申告をする場合には、給与及び退職金以外の所得もあわせて申告する必要があります」としています。還付だけ受けて副業分は黙っておく、ということはできません。医療費控除やふるさと納税で確定申告をする年は、副業の所得も必ず書いてください。
20万円は「収入」ではなく「所得」です
給与以外の副業では、収入から必要経費を引いた金額が20万円と比べる金額です。25万円受け取っていても、経費が6万円あれば所得は19万円で、所得税の確定申告は不要になります。ただし経費として計上できるのは、その副業のために実際に使った費用だけです。
手続きと期限
| 何を | どこへ | いつまで |
|---|---|---|
| 所得税の確定申告 | 税務署(e-Taxも可) | 翌年2月16日〜3月15日 |
| 住民税の申告 | お住まいの市区町村 | 翌年3月15日ごろ(自治体により異なる) |
確定申告をすれば、その内容が市区町村にも共有されるため、住民税の申告は別途必要ありません。住民税の申告が必要になるのは、確定申告をしない場合です。
よくある質問
20万円を超えたら、いくら税金が増えますか
所得税は本業と合わせた課税所得の税率で決まります。課税所得330万円〜695万円の人なら税率20%なので、副業の所得25万円に対して所得税がおよそ51,000円、住民税が25,000円で、合計およそ76,000円です。上の計算ツールで自分の条件を入れて確認してください。
会社に知られたくないのですが
住民税の徴収方法で気づかれることがあります。確定申告書や住民税申告書には住民税の納付方法を選ぶ欄があり、「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと副業分の住民税が本業の給与から天引きされません。ただし自治体によって扱いが異なり、就業規則で副業が禁止されている場合は別の問題です。
経費には何が入りますか
その副業のために実際に使った費用です。通信費・交通費・書籍代・機材代などのうち、副業に使った割合ぶんを計上します。プライベートと共用しているものは、使った割合で分ける必要があります。判断に迷うものは税務署か税理士にご確認ください。
赤字になった場合はどうなりますか
所得が0円として扱われ、所得税の確定申告は不要です。住民税の申告は必要です。なお雑所得の赤字は給与所得と相殺できません。事業所得として認められる場合は相殺できますが、帳簿書類の保存など条件があります。
確認先
| 内容 | 窓口 |
|---|---|
| 所得税・確定申告 | お住まいの地域を管轄する税務署/国税庁ホームページ |
| 住民税の申告 | お住まいの市区町村の税務課 |
| 経費や所得区分の判断 | 税務署/税理士 |
このページは制度の仕組みを整理したものです。個別の判断は税務署または税理士にご確認ください。当サイトは税理士事務所ではなく、税務相談には応じられません。金額と条件は2026年8月時点で国税庁・総務省・名古屋市の公式ページを確認して作成しています。
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