会社を辞めると、厚生年金から国民年金に切り替わります。保険料は月17,920円(令和8年度)で、収入が無くても同じ額がかかります。
払えないときに使えるのが免除と納付猶予です。ただしこの2つは名前が似ているだけで、将来の年金額への反映がまったく違います。
このページでは、どちらを使うと年金がいくら減るのか、追納する価値があるのかを計算できるようにしています。金額と条件は日本年金機構の公式ページで確認しています(2026年8月確認)。
免除と猶予は、まったく違います
違いは1点です。年金額に反映されるかどうか。
| 区分 | 払う保険料 | 年金額への反映 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 0円 | 2分の1 |
| 4分の3免除 | 4,480円 | 8分の5 |
| 半額免除 | 8,960円 | 8分の6 |
| 4分の1免除 | 13,440円 | 8分の7 |
| 納付猶予・学生納付特例 | 0円 | 反映されません |
免除は払っていなくても半分以上が年金になります。国が負担する分があるからです。猶予は0です。どちらも受給資格期間(10年)には算入されますが、金額はこれだけ差がつきます。
所得の基準
| 区分 | 前年所得の基準 |
|---|---|
| 全額免除 | (扶養親族等の数+1)× 35万円 + 32万円 |
| 4分の3免除 | 88万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額等 |
| 半額免除 | 128万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額等 |
| 4分の1免除 | 168万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額等 |
| 納付猶予 | (扶養親族等の数+1)× 35万円 + 32万円 ※20歳以上50歳未満の方が対象 |
単身で扶養親族がいない場合、全額免除の基準は所得67万円です(1×35万円+32万円)。本人・世帯主・配偶者それぞれの所得が基準以下である必要があります。
年金がいくら減るか
令和8年度の老齢基礎年金は満額で年847,296円(月70,608円)です。40年(480月)納めた場合の額なので、1か月あたり年1,765円にあたります。
免除・猶予で年金はいくら減るか
令和8年度の保険料と年金額で計算します
申請は年度単位(7月〜翌年6月)です。1年なら12を入れてください。
- 老齢基礎年金の満額 年847,296円(令和8年度・昭和31年4月2日以後生まれ)を480月で割って計算しています。昭和31年4月1日以前生まれの方は月70,408円です。
- 追納費用は令和8年度の保険料17,920円で計算しています。実際は当時の保険料額で、承認された年度の翌年度から起算して3年度目以降は加算額が上乗せされます。
- 回収年数は「追納した費用 ÷ 追納で増える年金の年額」です。年金は生きている限り受け取れるので、長生きするほど追納が有利になります。
- 一部免除(4分の3・半額・4分の1)は、残りの保険料を納めて初めてこの扱いになります。納めないと未納です。
- 数字は日本年金機構の公式ページで2026年8月に確認したものです。保険料と年金額は毎年度改定されます。
知らずに損をする4つ
未納と免除は、まったく違います
払わずに放置すると未納です。未納の期間は受給資格期間にも入らず、年金額にも反映されません。免除を申請しておけば、全額免除でも半分は年金になります。払えないなら、放置せず申請してください。
猶予は年金額に1円も反映されません
納付猶予と学生納付特例は、受給資格期間には入りますが金額には反映されません。免除と混同されがちですが、老後に受け取る額はまったく違います。50歳未満で所得が基準以下なら、猶予より免除に該当するか先に確認してください。
申請できるのは2年1か月前までです
免除・猶予を申請できるのは、保険料の納付期限から2年を経過していない期間です。それより前は、もう申請できません。払えない状態が続いているなら、早めに申請してください。
追納は10年以内。3年度目からは加算額がつきます
追納できるのは、承認された月の前10年以内です。さらに、承認を受けた翌年度から起算して3年度目以降は当時の保険料に加算額が上乗せされます。追納するなら早いほうが安くなります。
追納する価値があるのは、猶予のほうです
計算すると、はっきりした差が出ます。1年分(12か月)を追納した場合です。
免除はどの区分でも20.3年、猶予は10.2年です。免除は払っていなくても国庫負担分がもらえるため、追納で増える額が小さくなります。猶予は0なので、追納した分がまるごと年金に乗ります。
65歳から受け取るとすると、免除の追納は85歳、猶予の追納は75歳で元が取れる計算です。追納する余裕が限られているなら、猶予の期間を優先するほうが効率的です。
手続きと期限
| 何を | どこへ | いつまで |
|---|---|---|
| 免除・猶予の申請 | 市区町村の国民年金担当窓口/年金事務所 マイナポータルから電子申請も可 | 納付期限から2年1か月前まで |
| 追納の申込み | 年金事務所 | 承認された月の前10年以内 |
追納は原則として古い期間の保険料から納めます。免除の期間と猶予の期間の両方がある場合は、順序について年金事務所に相談してください。すでに老齢基礎年金を受け取れる状態の方は追納できません。
よくある質問
免除と猶予、どちらを申請すればいいですか
所得の基準を満たすなら免除のほうが有利です。全額免除でも半分は年金額に反映されますが、猶予は反映されません。ただし猶予は20歳以上50歳未満が対象で、免除は世帯主や配偶者の所得も見られます。どちらに該当するかは窓口で確認してください。
会社を辞めた直後でも申請できますか
退職した場合は特例があります。前年所得ではなく、退職を理由とした審査を受けられる仕組みがあるため、雇用保険受給資格者証などを持って窓口にご相談ください。前年の所得が高くても通ることがあります。
追納しないとどうなりますか
免除の区分に応じた年金額のままになります。全額免除なら満額の2分の1、猶予なら0です。受給資格期間には算入されているので、年金が受け取れなくなるわけではありません。
保険料はいくらですか
令和8年度は月額17,920円です。付加保険料(月400円)を上乗せすると、将来の年金が増えます。保険料額は毎年度改定されます。
確認先
| 免除・猶予の申請 | 市区町村の国民年金担当窓口/年金事務所/マイナポータル |
| 自分の納付記録 | ねんきんネット/ねんきん定期便 |
| 追納の相談 | 年金事務所 |
このページは制度の仕組みを整理したものです。承認の可否と金額は日本年金機構が判断します。当サイトは社会保険労務士事務所ではなく、個別の相談には応じられません。金額と条件は2026年8月時点で日本年金機構の公式ページを確認して作成しています。保険料と年金額は毎年度改定されます。


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