会社を辞めて学校に通い直す。専門実践教育訓練なら受講料の最大80%が戻りますが、それだけでは生活できません。通っている間の収入をどうするかが実際の問題です。
そこを埋めるのが教育訓練支援給付金です。失業給付(基本手当)が切れたあと、訓練が終わるまで基本手当の日額の60%を受け取れます。
このページでは、対象になる条件と、訓練期間中に合計いくら受け取れるかを計算できるようにしています。金額と条件は厚生労働省の公式資料で確認しています(2026年8月確認)。
基本手当が切れたあとを埋める制度です
この制度でいちばん誤解されるのが、基本手当との関係です。両方を同時には受け取れません。
| 時期 | 受け取れるもの | 日額 |
|---|---|---|
| 離職〜基本手当の所定給付日数まで | 基本手当 | 賃金日額の50〜80% |
| 基本手当が終わってから訓練修了まで | 教育訓練支援給付金 | 基本手当日額の60% |
公式にも「専門実践教育訓練の受給資格者が基本手当の給付を受けることができる期間は、教育訓練支援給付金は支給されません。基本手当の支給が終了したあとは給付を受けることができます」と書かれています。
自己都合退職なら基本手当は90日です。2年制の学校に通うなら残りの630日ほどを支援給付金が埋める計算になります。ここが大きい部分です。
受け取れる条件
公式に10項目あります。よくつまずくものから並べます。
| ① | 受講開始時に45歳未満であること |
| ② | 受講する講座が夜間制・通信制ではないこと(昼間通学制) |
| ③ | 受講開始日に雇用保険の被保険者ではないこと(離職していること) |
| ④ | 専門実践教育訓練給付金の受給資格があること |
| ⑤ | 専門実践教育訓練を修了する見込みがあること |
| ⑥ | 会社などの役員に就任していないこと |
| ⑦ | 自治体の長に就任していないこと |
| ⑧ | 今回の受講開始日前に教育訓練支援給付金を受けたことがないこと |
| ⑨ | 教育訓練給付金を受けたことがないこと (平成26年10月1日前に受けたことがある場合は例外あり) |
| ⑩ | 受講開始日が令和9年3月31日以前であること |
⑩が期限です。この制度は暫定措置で、受講開始日が令和9年3月31日を過ぎると対象になりません。使うつもりなら、それまでに受講を始める必要があります。
訓練中にいくら受け取れるか
日額は基本手当と同じ計算をしてから、60%を掛けます。基本手当の日額は、離職前6か月の賃金をもとに賃金日額を出し、そこから50〜80%を掛けた額です(賃金が低いほど率が高くなります)。
訓練中に受け取れる合計
基本手当と教育訓練支援給付金を分けて計算します
離職前6か月の平均です。賞与は含みません。
支援給付金は45歳未満が条件です。
自己都合退職なら、被保険者期間10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。会社都合の場合は受給資格者証に書かれた日数を入れてください。
看護・保育・調理などの養成課程は2〜3年が多く、専門学校の課程で1〜2年です。
- 基本手当の日額は、厚生労働省が公表している計算式(令和8年8月1日〜)をそのまま使っています。公式の例(賃金日額6,000円→4,683円、9,000円→6,013円)と一致することを確認しています。
- 賃金日額は「額面月収 ÷ 30」で計算しています。実際は離職前6か月の賃金総額を180で割った額です。
- 訓練期間の日数は「月数 × 30」で計算しています。実際の支給は受講した日について行われます。
- 支援給付金は実際に受講していないと支給されません。欠席した日は原則支給されず、ある2か月の出席率が8割未満になると以後一切支給されません。
- 基本手当の日額の計算式は毎年8月1日に改定されます。手続きの前にハローワークで最新の金額をご確認ください。
- 実際の支給額はハローワークが決定します。ここでの計算は目安です。
知らずに損をする4つ
受講開始が令和9年3月31日を過ぎると、対象外です
この制度は暫定措置です。受講開始日が令和9年3月31日以前であることが条件で、それを過ぎると受け取れません。学校の入学時期は決まっているので、逆算して動く必要があります。
夜間制・通信制は対象になりません
働きながら通える形の講座は対象外です。昼間通学制であることが条件です。仕事を続けながら学ぶ場合は、この制度ではなく教育訓練休暇給付金のほうが該当する可能性があります。
令和7年4月から、給付率が80%から60%に下がりました
以前は基本手当の日額の80%でしたが、令和7年3月31日以前に受講を開始した人までです。今から始める人は60%です。古い解説記事は80%のままのことがあるので、金額を見るときは日付を確認してください。
出席率が8割を切ると、以後まったく支給されません
欠席した日が支給されないだけでなく、ある2か月の出席率が8割未満になると、それ以降は一切支給されません。体調や家庭の事情で通えない期間が続くと、生活費の柱が丸ごと消えます。
受講料が戻る給付金とは別の制度です
専門実践教育訓練には2つの給付があります。混同しやすいので整理します。
| 専門実践教育訓練給付金 | 教育訓練支援給付金 | |
|---|---|---|
| 何に対して | 払った受講料 | 訓練中の生活費 |
| いくら | 受講料の50%〜最大80% | 基本手当日額の60% |
| 在職中でも | 受けられる | 受けられない(離職が条件) |
| 年齢 | 制限なし | 45歳未満 |
| 期限 | なし | 令和9年3月31日までの受講開始 |
受講料のほうは教育訓練給付金は実際いくら戻るかで計算できます。2つを合わせて、はじめて総額が見えます。
手続きの流れ
| いつ | 何を |
|---|---|
| 受講開始の2週間前まで | 訓練前キャリアコンサルティングを受け、受給資格確認の手続きをハローワークで行う |
| 離職後 | 基本手当の受給手続き。まず基本手当を受け取る |
| 訓練中 | 2か月ごとに失業の認定を受け、支援給付金の支給申請をする |
受給資格確認の期限は専門実践教育訓練給付金と同じで、受講開始日の2週間前までです。ここを過ぎると受講料の給付も支援給付金も受けられません。
よくある質問
基本手当と両方もらえますか
同時には受け取れません。基本手当を受け取れる期間は支援給付金は支給されず、基本手当が終わったあとから支援給付金が始まります。合計額は上の計算ツールで確認できます。
45歳を過ぎていると何も受け取れませんか
支援給付金は受け取れませんが、専門実践教育訓練給付金(受講料の給付)には年齢制限がありません。受講料は最大80%が戻ります。生活費の部分は基本手当だけになります。
どんな講座が対象ですか
厚生労働大臣が指定した専門実践教育訓練のうち、昼間通学制のものです。看護師・保育士・介護福祉士などの養成課程や、専門学校の課程が中心です。指定されているかは厚生労働省の教育訓練講座検索システムで確認できます。
途中でやめたらどうなりますか
修了する見込みがなくなった時点で支給は止まります。成績不良や休学で修了見込みがなくなった場合も同じです。受講料の給付も修了が条件なので、途中でやめると両方を失います。
確認先
| 制度全般・受給資格の確認 | お住まいの地域を管轄するハローワーク |
| 講座が指定されているかの確認 | 厚生労働省 教育訓練講座検索システム |
| 基本手当の所定給付日数 | 雇用保険受給資格者証に記載されています |
このページは制度の仕組みを整理したものです。支給の可否と金額はハローワークが決定します。当サイトは社会保険労務士事務所ではなく、個別の相談には応じられません。金額と条件は2026年8月時点で厚生労働省の公式資料を確認して作成しています。基本手当の日額の計算式は毎年8月1日に改定されます。


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